2008年5月24日土曜日

雪之丞変化

「雪之丞変化」をみた。


何を見ようかなと考えた所、市川監督ですし豪華俳優陣が出演しているこの映画が気になりレンタルしてみました。

大江戸で人気を呼んでいる中村座の若手女形・雪之丞には、長崎の豪商だった両親が抜け荷の罪を着せられ自らの命を絶ったという暗い過去がありました。身寄りをなくした雪之丞は中村座の座長・中村菊之丞の一座で暮らしながら、芝居の稽古に励み現在では花形役者に成長。そして両親の仇討ちを果たす時を待っていました…


という話で面白かったです。雪之丞は自分に惚れ込んだ三斎の娘、浪路を利用し彼女をとりこにして家を飛び出させ三斎に生き地獄を味わわせてやろうと計画します。思ったとおり浪路は雪之丞に恋焦がれるのですが彼女がそうなるほど雪之丞の心は揺らいでいくんですね。復讐以外には何も考えられませんが、何も知らない浪路の事を思うと可哀想になってくる。自分の事をずっと一途に思い続ける彼女を騙してしまって申し訳ないと思うのです。しかも家を出てしまった事で人を殺してしまい病気になってしまうし。苦しみながらも雪之丞の名前を呼ぶ彼女を見てると胸が痛くなりました。

雪之丞以外のキャラも面白いです。闇太郎(最後まで長谷川一夫さんが演じてるなんて知らなかった…)は雪之丞の復讐計画を知り彼に協力します。そこに女賊のお初が加わってきます。このお初は女性なのに口が悪いし態度もど~ん!と大きいのですが、サバサバした性格が好感もてます。雪之丞の優しさに惚れ彼を追いかけて自分のものにしようと脅しますが上手くいかず。でも恨むわけでもなく文句を言いながら手助けしようとする姿が素敵でした。闇太郎と結構いいカップルだと思いますよ。そんな闇太郎に憧れているのが昼太郎。出演シーンは短いのですが、この可愛い明るさに救われます。闇太郎が貧乏な家にお金を置いていったら同じようにお金を置こうとして、自分と闇太郎のお金を比べてみたら少なくて同じような量になるように闇太郎のお金を貰ったりします。努力が全部闇太郎のものになってしまうのが可哀想だけどね。



主演の長谷川一夫さんは女形が綺麗ですけど、舞台降りたあともずっと女形だったのに驚きました。しかも話し方も女の人のまま。最初はそれに戸惑いました。だって浪路が雪之丞様~って愛しい目で惚れ込んでいる相手は女形(結構いい歳なのでは…)っていうのが気になってしまってね。
山本富士子さんは何度も映画で見ているはずなのに、これまた気づきませんでした。最後にあぁ~!本当だ!と。男っぽくサバサバしてるので今までのイメージと全然違ってたのが原因かもしれませんね。
市川雷蔵さんは本当に短い出演シーンなのに、映画の中に明るさを与えてくれてありがとう。この役で映画1本とってもいいんじゃないの?ってぐらい素敵でした。
勝新太郎さんはいつ出演するの?って思っていたら闇太郎の弟分としてこれまた短い出演シーン。髪や髭はボサボサだし野生児っぽくて小汚く目がギロギロしてますが…自分はどうしたらいいんだろう?と困った姿が良いね。

0 件のコメント: