2008年6月21日土曜日

リアル・フィクション

「リアル・フィクション」をみた。

これもキム・ギドク監督の初期の作品なんですが主演がチュ・ジンモ。チュ・ジンモって「カンナさん、大成功です!」に出演してるような若手で男前の俳優さんだよね。キム・ギドク監督がそういう俳優さんを起用するって不思議だなと思ってました。一応チョ・ジェヒョンやチャン・ドンゴンも男前ですけど、やっぱりちょっと違いますもんね。。。


その若者は公園で肖像画を描いて暮らす画家でした。ヤクザに笑われ、お客に料金を踏み倒されながらも絵を描き続けていたある日、彼はビデオカメラで彼を撮影し続けていた少女の似顔絵を描きます。彼女はお金を持っていないから別のもので払うと言い、彼が少女についていくと…


という話で、とても面白かったです。と言ってもかなり好き嫌いが別れる映画じゃないでしょうか?いつものように何の説明もなく、台詞も少なく若者がなぜこんな生活を送っているのかわからないままなのかな?っと思っていたらそうじゃありません。少女についていき出会った1人の男…それはもう1人の自分だったのでした。最初は見た目が全然似ていないので、何を怒っての?って思いながら見てたんです。そしたらその男がお前の人生は辛かっただろう?みじめだっただろう?と言い、銃を取り出し俺を殺したい相手だと思って撃て!といいます。最初は戸惑っていた若者が、徐々に思い出したように怒っていき同化していくように見えた時、あぁ~これは自分自身なんだなと思いました。そして彼は自分自身を撃ち殺した後、本当に自分の憎んで殺したいと思っている人達を殺しに行くという復讐?のような物語が始まりました。まずは自分の書いた絵を気にいらず目の前でビリビリに破いて捨てた女性。彼女を追いかけ尖ったえんぴつで刺し殺す、今度は自分の絵を利用したカメラマンを殴り殺し、お店に違う男を連れ込んでいる恋人を殺し、昔愛していた女性を無理矢理奪って結婚したのに幸せに出来ず離婚した友人を毒蛇で殺し…どんどん殺人を重ねていきます。

そんな彼が他の殺した人達がと違った理由で会ったのは元恋人でした。最初は同じように恨みながら一気に殺すのかな?なんて思ってましたけど、ちょっと雰囲気が違う。彼女も彼と同じようになぜこんな事に?と人生に絶望していました。そしてもう生きているのが辛いと言う…彼女は最後どうなったのか結局はわかりません。他の人とは違って死んだ姿を見せなかったので。でも、自分は殺したんじゃないかと思います。それは彼女にこれ以上つらい目にあってほしくないから、彼と同じような思いを抱えて生きてほしくないから。だからって殺していいっていう理由にはならないと思うけど切なかったです。


他にも軍隊で彼を傷つけた後輩を冷凍室に閉じ込め、金を取り上げるヤクザを撃ち殺したり、彼を辱めた刑事を殴り殺したりします。それをずっと撮り続けている少女も。この少女はどういう存在?これも自分自身なの?って疑問に思いましたが、この少女を殺す事ですべての殺人から逃れる…じゃなくて殺人が終了したという意味なのかなと思いました。それでどういう結末になるの?と思っていたら…えぇ!そういうオチですか?とビックリです。


主演のチュ・ジンモは映画でちょこっとしか見た事がないんですが、めっちゃ綺麗な顔してるんだなぁと思いました。鼻が高い!横顔が彫刻のようです。そんな若くて男前な俳優さんなのに地味な服を着て綺麗な部分を全部抑えて冷血な殺人者となる。言葉にはしませんが殺してやる!という声が聞こえそうです。こういう演技も見れて嬉しいですね。だけどなぜにチュ・ジンモなの?って考えてみると、若さがあるほうが勢いと思い込み!がありそうですし、多少男前じゃないと見ているのに辛いものがあるかな?と思いました。

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