2008年6月14日土曜日

妻は告白する

「妻は告白する」をみた。


増村監督の映画でどれを見ようか…と考えたら、ちょっとシリアスな映画が見たいと思ったので、この映画にしてみました。

大学教授の夫とその妻、製薬会社の社員の若い男が登山中に事故にあい、大学教授だけが死んでしまいます。世間はそれを妻が故意に殺したのではないかと疑い裁判が始まるのですが…という話で面白かったです。

夫は事故で死んだのか、それとも妻が殺したのか…という謎があります。殺したとしても、気持ちがわからなくないんです。貧しい暮らしをしている時に夫と出会いこの暮らしから抜け出すために結婚して、いい妻になろうと努力するけれど夫は冷たく文句を言うだけで子供も生ませてくれない。こんな生活が嫌で死のうかと思った時に、若くて優しくて自分の唯一の味方でいてくれる人に出会うわけです。
世間にどう思われてもいいから彼を愛したい、ずっと一緒にいたい…という気持ちは抑えきれず彼も奥さんを好きな気持ちに気づいて、二人は世間の人にどう思われようと一緒になろうと決意します。結局は裁判では無罪になるんですが、妻は本当は自分が殺したという事を告白してしまいます。彼はそれで奥さんの事が急に恐ろしく見えるし、今までずっと自分を騙してたのかと思うと一緒にはいられず離れる決意をします。別れるときに「人を殺す人間に、人を愛する事ができるのか?」と言います。その言葉を聞いた時、この人は全然わかってないなと思いました。奥さんは愛するからこそ夫を殺したんです。もちろん人を殺していい理由なんてないのはわかっています。だけど目の前で愛する人が苦しんでいてもしかしたら死ぬかもしれない。憎い夫のせいで彼がこんなに苦しんでいる。だったら…自分はどうなってもいい。彼を、愛する人を助けたいそう思ったはずです。

もうちょっと妻の気持ちを考えてほしかったな。だからといって若くて優しい男性もどうだろう。。。奥さんが殺したのでは?とずっと疑問に思いながらも一緒にいてくれるけど、殺したとわかれば急に態度が変わるなんてちょっと酷くない?と思っちゃいました。婚約者が言う通りきっと誰も本気で愛してなかったんでしょうね。本気で愛してたらもっと違う結果になってたんじゃないかなぁ。。。


主演の若尾文子さんはまさに奥さん!という感じがします。夫にはふさわしくないほど若くて色っぽい。これは誰もが夢中になりそうです。
川口浩さんは若尾さんとは「最高殊勲夫人」で共演していてこの映画が大好きな自分としては嬉しかったんですが、ちょっと嫌な男でしたね。若さゆえというのもあるんでしょうがハッキリしない優柔不断な態度が女性としてはイライラしたり。自分が好きなのは婚約者役の馬淵晴子さん。綺麗な人ですね。きっと誰よりも奥さんの気持ちを理解し、婚約者の事も自分の事もちゃんと考えられる大人な人だと思います。だからどうしようもない想いが悲しかったりするんですけどね。

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